とくに止むに止まれぬ事情というものもないため、浮かんでは消え浮かんでは消え、今日まできてしまった。
これまでに増えた植物たちを持て余していることと、いつまでもここにとどまっているわけにもいかないこと。
なしくずしにしてきた日々に飽きたのかもしれない。
面倒なことを先延ばしにしてきたじぶんに嫌気がさしたのかもしれない。
「捨ててしまおう、重荷になるだけ」
仕切り直したいわけでもなくて身軽になりたい、もっと。もっと。
そうして持てるものだけを持ちたい。手放すまいとして大事にしてきたものを捨ててしまおう。もう憶えてすらいないのだ。
きっかけはフライパンとドライヤー、それから掃除機。
真新しいものがほしいと思った。
あたしは引越しがしたい。