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“孤独な鳥の5つの条件”

半年前に今の部屋に越して来てから、全くテレビを点けなくなった。
帰りが遅くて見る時間がない とういのもあるけれど、テレビからの情報が、もう自分にはあまり必要じゃないな と思うようになったからだと思う。
会社の子たちにはそんなことも知らないんですか?!とすっかり”ばあや”呼ばわりだけれど、特に気にしていません。

先日、久しぶりにテレビを点けた。
是枝監督の”海街diary”を観るために。

是枝監督の映画を観るのも久しぶりだった。
やっぱり独特の間合いと臨場感のある出演者の姿、やさしい光と美しく控えめな音楽が心を揺さぶった。

自分にとって、特別な映画がある。
“好き”とも”想い出に残る”とも少し違う、”特別”な映画。

是枝監督の3作品目、”DISTANCE”。

当時、まだ高校生だったと思う。
母の友人からたまたまチケットをいただき、夏休みに東京へ遊びに行った際観た。
当時憧れの場所のひとつであった、今はなきCINEMA RISE。
中学生の頃からARATAさんが好きだったので、ARATAと伊勢谷友介が出ている!と、そんなミーハーな気持ちで観に行った。

内容はとても重かった。
カルト教団の無差別殺人事件(サリン事件の話がベースになっている)の、加害者遺族が主人公となっている。

“僕たちは被害者なのか、加害者なのか”

加害者遺族が久しぶりに集まったある一日、その中に回想シーンが織り交ぜて描かれている。

それぞれ残されたものたちの複雑な感情の波が、言葉から、表情から、その間から、溢れ出ていた。
皆、愛したひとへの気持ちを持て余したまま、生きていた。

その日、パンフレットを買って読んだけれど、わたしは結局、一度映画を観ただけではよく内容を理解出来ず、DVDを購入した。
回を重ねて観るたびに、それぞれが言った言葉や行動がそれを意味しているのか と、点と点が繋がるうれしさと、居た堪れない気持ちが重なった。
何も説明されないまま、物語は淡々と進む。

ミネラルウォーターでお米を研ぐ意味
ひなぎくとヤマユリは誰が好きな花なのか
赤いペディキュアは”ルビー”
真夏にアイスを食べた後握手するとベタベタすること
宮沢賢治の詩の続き
“サイレントブルー”という時間帯について
“ほんとう”とは何なのか
残り2つが明かされないままの、”孤独な鳥の5つの条件”

わたしはその次作の”誰も知らない”以降の是枝監督作品を観ていない。
先日ようやく”海街diary”を観て、別の作品も観ないといけないな と、改めて思った。

映画が教えてくれることは夢や希望だけではない。
絶望ややり切れなさを描くものも多い。
フィクションも、ノンフィクションもある。
でも、知らない世界を、たった2時間で教えてくれる。
知ることは大事なことだと思う。

とても長くなってしまった(そしてとても重くなってしまった)。
相変わらず根暗だし真面目だしつまらないけど、この映画をまた観たくなったので書きました。
次はもう少し明るい話題について書こうと思います…!

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冬生まれ、雪国育ち/花屋勤務。休日前夜にお気に入りの場所でお茶するのが至福のとき。 日々起こるいろいろを忘れがち・見落としがちなので、書くことで大切なことに気付くきっかけになればいいなと思います。
いつかなくなる世界について
残したいものがある
すべては必然でできている
“孤独な鳥の5つの条件”
fairway,